fantasista 2
そして……
奴は急にボールを蹴った。
本当にいきなり。
いきなりすぎて、ぽかーんとしていた。
柊に酔う暇もなかった。
ほとんど助走もつけていないインサイドキックなのに、鋭い球は大きな音を立てて真ん中のボードを射抜く。
見事なキックだった。
そのまま柊は軽々とボードを射抜いていった。
その様子に開いた口が塞がらない。
終いには、全てのボードを落としてしまい、物足りなそうにリフティングをする。
柊にとってはリフティングもキックターゲットも朝飯前なんだろう。
だけど、やっぱり楽しげなその顔に見惚れてしまった。
試合の時もこうやって目を輝かせているな。
柊は本当にサッカーが好きなんだ。