fantasista 2
GAME.3 インサイドフック
戸崎はすぐに現れた。
正確な時間は分からなかったが、本当に五分以内かもしれない。
家から結構離れているのに。
本気にしなくてもいいのに。
戸崎はテーブル脇に座り込み、肩で息をしている。
そんな戸崎を隣の女子たちが見て、
「戸崎柊が疲れている」
なんて驚いていた。
戸崎はどんな勢いでダッシュしてきたのだろう。
あの過酷な九十分の試合が出来る戸崎なのに、こんなにヘトヘトになって。
「ご苦労」
そう言うあたしに、
「お前……やっぱり鬼だな」
戸崎は息絶え絶えに言う。
あたしが蒔いた種だが、こんなにもヘトヘトになって迎えに来てくれた戸崎にきゅんとしてしまう。
戸崎はこうも全力で、あたしを大切にしてくれる。