fantasista 2
そんなこと、思い出したくもない。
いつまでも過去にすがるあたしは醜い女だ。
そう思うけど、身体がぶるぶる震えて、泣きそうにさえなる。
それほどまでに、あの光景はあたしの心に傷を付けているのだ。
「また会えるなんて、偶然だね」
彼女はやっぱり頰を染めて柊を見て……
あたしはそんな二人を見ることすら苦痛で……
逃げ出そうとしたあたしの手を、柊はぎゅっと握る。
そして、静かに彼女に告げる。
「俺に話しかけるなって言っただろ」