fantasista 2






「俺にはお前しかいないんだよ」




分かっているのに、あの光景があたしを苦しめる。





「やっぱり一人にさせて。

あたし、頭痛が……」



「させねぇよ」




柊はあたしの手をぎゅっと引いた。

そしてあたしは柊の胸にダイブする。

大好きなその胸だけど、あの女もこの胸に抱かれたんだ。

そう思うと胸が張り裂けそうに痛む。





「お前、一人にさせるとまた崩壊するだろ」




柊は切なげに告げる。




「みどりしかいないんだ。

本当に……分かれよ」




その声は静かだが、悲鳴のようにあたしの胸に響き渡る。



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