fantasista 2







そして……




「みどり。すごく綺麗よ」




お母さんは、その少しふくよかになった顔であたしに言う。

そんなお母さんの背中に小川さんが手を伸ばした。




「みどりが幸せになって、すごく嬉しい」




その言葉に、またまた涙が出てくる。




「お母さんはいいお母さんにはなれなかったけど……

みどりはまっすぐに育ってくれた、自慢の娘だよ」





今さら何を言うの!?なんて思わなかった。

確かにいばらの道だったが、ここまで育ててくれたお母さんには感謝の気持ちでいっぱいだ。

一人娘のあたしが家を去り、山形と名乗る人はいなくなった。

あたしがこうやって柊に会え、柊と恋に落ち、柊のものになれたのもお母さんがあたしを産んでくれたからだ。





「あたし、絶対に幸せになるよ」





大丈夫、相手が柊だから。

あたしの言葉に、お母さんは嬉しそうに目を細めた。


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