fantasista 2
舞さんはそんなあたしたちのやり取りを、笑いながら見ていた。
戸崎のファンだったと言うのに、こうやってあたしたちの交際を受け入れてくれて。
本当に舞さんはいい人だ。
「すみません、いつもご迷惑をおかけして」
謝る戸崎に、いえいえと舞さんは言っていた。
「本当にみどりちゃんが好きなんですね」
「はい……すげぇ好きです。
自分でもびっくりです。
こんなペチャパイのオトコオンナに惚れているなんて」
イラっとすると同時に、きゅんとした。
戸崎が堂々とあたしを好きと言ってくれるから。
舞さんみたいな美人を前に、はっきりと言ってくれたから。
戸崎はやっぱり変わったんだ。
それなのにあたしは、嫉妬して戸崎を苦しめてばかりいる。
「行くぞ、ペチャパイ」
いつものように少し頰を染めてあたしに差し出されたその手を、ぎゅっと握った。
大きくて優しいこの手を、絶対に離したくない。