fantasista 2
あたしは戸崎と手を繋いで帰った。
大好きな戸崎に身を寄せるあたしの髪を、梅雨独特の生温い風が揺らしていた。
戸崎と会った三月。
戸崎に溺れていった四月。
ようやく結ばれた五月。
そして今、六月が終わろうとしている。
戸崎と会って四ヶ月が経とうとしていた。
この四ヶ月で、あたしの毎日は激変した。
こうもあたしを満たして幸せにしてくれるのは、戸崎だけだ。
「あの……ごめんなさい」
あたしはぎゅっと戸崎の手を握りしめたまま言う。
「戸崎のこと、酷く言って。
剛君……もっと気をつけるから」