fantasista 2





だけど、無理して笑顔を作る。

口角を上げて、



「用事があるんだね。じゃ、帰るね」



そう告げて踵を返した時……




「柊。彼女?」




新しい声が聞こえた。





再び扉を見ると、そこには見たことのある顔が二つ並んでいた。

紹介されなくても、アスール東京に夢中のあたしには分かる。

戸崎のチームメイトの、MF 小沢樹(いつき)とFW 黒木剛(ごう)だ。

戸崎みたいに日焼けして、立派な身体つきの二人に見とれていると、戸崎がわざとらしく咳払いをする。

それで、あたしは慌てて戸崎の彼女ですと頭を下げた。




頭を下げながら思った。

この人たちも、あたしを見て驚いているのだろうか。

イケメン戸崎の彼女が、オトコオンナだと知って。



< 6 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop