fantasista 2
「柊から話は聞いてるぞ。
良かったら来いよ」
黒木剛が人の良さそうな笑顔をあたしに向け、戸崎は小沢樹と顔を見合わせる。
明らかに来てほしくなさそうだ。
だから、
「お取り込み中すみません」
帰ろうとしたが……
不意に腕をぎゅっと掴まれた。
慌てて身を引こうとしても、男の力でビクともしない。
ぽかーんとしているあたしに、
「みどりも来いよ」
黒木剛は告げた。
それにしても、いきなりみどり呼ばわり!?
何なんだ、この慣れなれしい男は。
驚いた表情のまま戸崎を見たが、戸崎はふんと横を向いて部屋の中に入ってしまった。
戸崎……なんでそんなに機嫌が悪いの?
あたしが来てしまったのが、そんなに嫌だったの?
あたしは……
戸崎が冷たいと、すごく辛い。