fantasista 2
こんな悪い男に惹かれる女もいるのだろう。
でも、あたしはむしろ逆だ。
警戒しながら剛君を見ていたが、剛君はするりと部屋の中に入ってしまって。
ガチャリと扉が音を立てた。
その音がやけに冷たく聞こえた。
「手に入れにくい相手ほど、燃えるんだよな」
剛君は悪怯れることもなく言う。
きっと、剛君みたいな人は、手に入れたら終わりなんだろう。
昔の戸崎みたいに。
昔の戸崎を思い出して、やっぱり胸がズキンとした。
だけどその痛みは確実に小さくなってきている。