その恋、記憶にございませんっ!
「本物だったんですか」
と言う声に、蘇芳は、

「そうだ。
 見せるのもったいないから、お前には見せなかっただけだ」
と言ったあとで、宮本! と振り向く。

「本田っ!」
と蘇芳が呼ぶと、案の定、本田はやってきた。

「すみません。
 一万円いただいたので、乗せて来てしまいました」

 返します、三千円、とホクホク顔の本田が蘇芳に札を差し出しながら言っていた。






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