その恋、記憶にございませんっ!





「ちょっといいですか?
 なんで僕が奢らされてるんですか?」

 お好み焼き屋で、本田が文句を言ってくる。

「お前が俺を売った代金だからだ。
 しっかり食え、翔太」
と蘇芳が翔太に言っている。

 お、おう、と言う翔太と蘇芳は何故か座敷で隣に座っている。

 宮本と慎吾が隣。

 お誕生席のような端と端が唯と本田だ。

 何故、このような配置に……と思いながら、唯は蘇芳にお好み焼きを焼いてもらっていた。

「ともかく、俺はこのままでは納得できない。
 お前にも、後から割り込んできた慎吾さんにもだ!」

 肉玉そばダブルの翔太は食べながら、まだ文句を言っている。

 ソースの焦げるいい匂いの蒸気が立ち込めるなか、蘇芳が言う。

「ほう。
 言っただろう。

 慎吾とお前で勝負になると思っているのか。
 出直してこい!」

 出直させないでっ!
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