その恋、記憶にございませんっ!
「前田様っ。
 そんなっ、おやめくださいっ。

 我々が前田様と縁続きになりたくて、勝手に進めました話にございます。

 翔太にも慎吾にもよく言って聞かせますっ」

 勝家は、ん? ひとり増えている、という顔をしたが、特に気にしない性格なので、更に頭を下げ。

 それより下に頭を下げようとした会長たちを土下座させていた。

「あれが前田の殿様かー」
と後ろで樹の声がした。

 どれどれ、といつの間にか湧いてきた瑞穂たちも覗いている。

「見るからに、殿っ、て風格があるなー。
 お前は、姫って感じじゃないけど」

 ……偉い言われようだな、と思ったが、そう言って笑うみんなとの距離の近さを感じたとき、これはこれでいいかと思えた。





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