365日、いつまでもふたりで
「茜…」



竜くんが連れてきてくれたレストランはとても綺麗で。
竜くんがあたしのために連れてきたってことがすごくよくわかる。
外観とかすっごくあたし好みのデザインをしているから見つけてくれたんだなって。


でも、こんな気持ちでは入れないよ。



「今の気持ちでこんな綺麗なところに竜くんと行きたくない」


「ごめん」



窓のほうに体を向けていたあたしを後ろからふわっと抱きしめる。
鼻をかすめる竜くんの香りに胸がきゅんっとなって許してしまいそうになる。

でも、ここで引き下がってはなんの解決にもならない。



「なんでそんなに信じられないんですか?悲しいですよ」


「まだ、俺の全てを話せるほど俺は強くない。でも、茜のことはめっちゃ好きだから、信じる努力をしたいとは思うよ」



だったら初めからそう言ってくれたらいいのに。
この人はどうしてこうも不器用なのだろうか。



「いつか、話してくださいね」



あたしの言葉にこくんと竜くんがうなづく。

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