365日、いつまでもふたりで
「茜?」



あたしの様子の変化に気づいてか、腕をパシッと掴まれる。



「……なんでもない」



こんなことで落ち込んでもどうしょうもないのに。
やっぱり、こんなこと竜くんには普通のことでしかなくて。
あたしだけが、ドキドキしてることが本当に悔しい。



「なんでそんなに暗い顔してんだよ」


「……何も無いって」


「頼むから、俺と茜の間に溝作らないでくれよ」



あたしの前に回り込んで、心配そうに顔を覗かれる。



「ただ……」


「ただ?」



あたしの言葉を包み込むような竜くんに心が軽くなってくる。



「唇に触れられるとか、そんなことであたしはいちいち反応しちゃって……」


「うん」


「竜くんはやっぱり普通だから……」



フッと竜くんが笑って〝バーカ〟って言う。



「……?」


「俺だって、茜とのことは全部大切だし、全部ドキドキしてんだから」



竜くんの笑った顔にまたドキドキが止まらなくなる。


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