この声が消えても君に好きだと伝えたい。
私が我に返った時にはもう遅くて
斗真くんも、その周りの人もみんな唖然としていた
そして、斗真くんがゆっくり戸惑いながら口を開いた
「……え?俺、君に会ったことあるっけ…?」
その言葉に私の脳は停電したみたいに
一瞬パッとなにも考えられなかった
…分かってる。あの時の斗真くんにとって
あれは、ただの人助けだったってこと
それが普通の考え方なの。
……分かってる。分かってるよ。
分かってるんだけどね、覚えててほしかった
私は、耐えられなくなって
「…っこれ、ありがとうっ、」
震えないように振り絞った声でそう言って
斗真くんにタオルと傘を押し付けて
走ってその場を離れた
「……はぁっ、はあっ!」
乱れる息を整えようとするけど、
胸が落ち着かなくて、息もそれに合ってて乱れまくりで
涙がどんどん溢れてきて
涙を拭っていた袖もすぐにびしょ濡れになった
「……っ」
何やってんだろわたし。
あんな予定じゃなかった。
もっとちゃんとお礼を言いたかった。
すぐに返せなくてごめんって謝りたかった。
斗真くんと久しぶりに声を交わしたのに
2度目は後悔ばかりでした。