この声が消えても君に好きだと伝えたい。
階段の踊り場に来たけれど
みんなもうほとんど教室に入っていて
割と静かで、さらに緊張が増す。
小さな物音や、近くのクラスから聞こえる声
靴と床の擦れ合う音、自分の心拍音
変なところに意識がいってしまう。
「……あのさ」
彼が口を開いた瞬間、今までの小さな音たちは
一瞬にして無音になった
「あ、はい…」
「タオルと傘ありがとう。」
「あ、いいえ。」
「あの時の女の子だとは思わなかった」
その言葉を聞いた瞬間、全てがふわっと軽くなった
周りが明るくなった
「…覚えててくれてたんですね」
「当たり前。あんなずぶ濡れなとこ見たら。」
そう言いながら、思い出し笑いなのかふふっと微笑んだ
ああ、だめだ。この笑顔に私は弱いんだ。
分かってる。けど、素直に伝えたい
「あの、斗真くん!!」
「ん?なに?」
「やっぱり好きです!大好きです!」
もう止まらない。気持ちがどんどん溢れ出す。
「運命かもしれないです、斗真くん!!!」
「運命?お前やっぱ変人」
斗真くんと話して3回目。
変人になりました。