この声が消えても君に好きだと伝えたい。




「ゲホッゲホッ」








「ねえ、乃愛。あんたほんとそろそろ病院行きな」









「……うん。ゲホッ」







おかしいなあ。なんなんだろ、これ。









最近はずっとこんな調子で











斗真くんの朝のお出迎えも控えている。



斗真くんは








「静かな朝で幸せ」













なんて、冗談っぽく清々しい顔をして言っていた






斗真くんとしっかり話せるのは大体朝しかない。





だから、最近はあまり斗真くんと話せていない













それに、咳のし過ぎで口の中はひどく乾いていて












声もだんだんかすれてきていた。















「ごめっゲホッ。梨香。ちょっと水飲み場行ってくる、」










「大丈夫?ついて行こうか?」











「ううん。大丈夫」








水が欲しいと言わんばかりに出る咳と









のどの激しい痛み









首に触ると熱くなっていて










水飲み場へ走って向かった。













水を飲もうとして上半身を倒した瞬間









「ゴホッ…ゴホッ!!!!」






今までで1番ひどい咳が出て








今までで1番違和感を感じた










口の中が鉄の味でいっぱいになった








手のひらには赤い液体がついていた










「……え?う……そでしょ?なにこれ…!!」













頭が真っ白になった













風邪で吐血するはずがない











「乃愛?だいじょ……っ!?」








心配して後から来てくれた梨香も








私の手を見て唖然とした










私はあまりのパニックに意識がだんだん薄れていった










「乃愛!!乃愛!!しっかり!誰か!!!」








梨香が叫んでる声が聞こえる







でも、だんだん遠くなっていく









死ぬのかな…私…









そこで意識は途絶えた
















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