この声が消えても君に好きだと伝えたい。
運命かもしれません、斗真くん。
その日、1日晴れだと予報されていた天気は
見事にはずれ
平坦な道にもうっすらと水がたまるくらい
物凄く雨が降っていました。
「はぁっ!はぁっ!っもう!!今日晴れの予報だったじゃん!!」
まだ中学校3年生だった私は
傘なんて持っていなくて、カバンで雨をしのぎながら
全力で走って家に向かって帰っていました。
でも、ほんとうに怖くなるくらいの凄い雨で
私は一旦小さなお弁当屋さんの屋根で雨宿りをしました。
「もう!なんなのよ、この雨」
全部びしょびしょ……風邪引いちゃう…
「これ、絶対止まないよなあ…」
その時です。私と斗真くんが初めて会ったのは。
「あ!母さん待って!お客さんいる!」
シャッターが閉まってたはずのお店の横から
私と同じ年くらいの男の子が出てきました。
それが、斗真くんです。
「……へ?」
待って。私お客さんだと勘違いされてる…?
「すいません!気付かなくて!何にしますか!?」
「あっ…いやあの!雨宿りしてるだけです!すいません!」
「…傘ないんですか?」
「はい…」
「ちょっと待っててください!」
どうしたんだろう…なんか迷惑かけたなあ
帰ろうかな
あ、でも待っててって言われたのに帰ったら
余計失礼だよね?
「はい!これ、よかったら」
ビショビショだった私に彼はタオルと傘を
貸してくれました。
「え、あ、ありがとうございます!!必ず返しにきます!」
彼にそう言って、私は家に帰りました。
今では、ほんとにその天気に感謝している。
もし、晴れていたら知り合えなかったから。
こうやって、好きって伝えられなかったから。
そもそも、好きになることすらできなかったから。