この声が消えても君に好きだと伝えたい。
お弁当屋さんが視界に入るところまできたけど
「あれ?今日定休日かな?」
まだお昼なのに、シャッター閉まってる…
お弁当屋さんに近づけば近づくほど
シャッターに貼られた1枚の紙がはっきりと見えてくる
何故か分からないけど嫌な予感がした。
胸がドクン…ドクン…と嫌な音を立てる
今日は定休日ですっていう貼り紙かもしれない。
そうに違いない。
だって、ついこの間までやってたんだから…
でも、その貼り紙の目の前まで来ると
(○日をもって閉店致しました)
そう書かれていた。
「う…そでしょ」
でも、斗真くんは横から出てきたよね?
お家とお弁当屋さん繋がってるのかも!
私はそう思ってお弁当屋さんの横を通ってみた
確かに一軒家とお弁当屋さんは繋がっていて
けれど誰も住んでいない雰囲気が漂っていた
「そこのお家の人に何か用事?」
通りかかった近所らしきおばあさんが
私に話し掛けてくれた
「あの!ここに住んでる人に会いたいのですが…」
「あ~残念だけど引越したのよ。佐野さん家」
「あの…どこへ?」
「ごめんなさいね。そこまでは分からないわ」
「あっ…そうですか。ありがとうございます。」
そして、私は斗真くんにタオルと傘を返せないまま
中学を卒業し、高校へ進学した。
高校は、1学年250人以上いて
名前なんて覚えられるはずもなく
ましてや、あれこんな人いたっけ?ってなることもあった。
だから、斗真くんの存在に気付けたのは
高校2年生になってからだった。