この声が消えても君に好きだと伝えたい。
-高校2年 春-
「うわあ~、初々しいね!新入生!ねっ梨香!」
「そうだねー」
今日は対面式です!
新入生、みんなそわそわしてて可愛いな~!
新入生代表のあいさつ、生徒会長のあいさつが終わり
次は学年代表あいさつ。
「誰がやるんだろうね?」
「わかるわけがない。250人以上もいるのに」
「ふふっ!確かにね」
ヒソヒソと梨香とおしゃべりしていると
「え!?佐野くんだよ!」
「ほんと!?」
「やっぱかっこいいね~!」
「斗真、ファイト~!笑」
女子達が騒ぎはじめ、友達のような男子がいじりはじめた
「なんか、人気な人っぽいね?梨香」
「え、あんた知らないの?」
「え?なにが?」
「ほら、あの男の子。佐野 斗真くん。」
「……え?」
今……なんて言った?
「…梨香、ごめん。もう1回言って?」
「え?だーかーら、佐野 斗真くん!」
「え、あの斗真くんの斗真って漢字どう書く?」
「たしか…これじゃない?」
そう言って、梨香は手のひらに指で書いてくれた
間違いない。゛斗真 ゛くんだ。
教頭「2年生代表挨拶 佐野 斗真」
「はい。」
高校に入って2年目でようやくあなたに会えました。
けれど、やっぱりたった1度しか会ったことがないから
あの時の面影が全然なくて
私はあの佐野 斗真くんかまだ分からなかった。
それからというもの、対面式は上の空で
ただただ、斗真くんについて考えていました。