この声が消えても君に好きだと伝えたい。




そろーり、そろーりとB組の教室の扉から顔を出し











ゆっくりあたりを見渡す









「あのー、誰かに用すか。てか、そこどいてもらってもいいですか。」





いきなり声をかけられたことにびっくりした私は







相手の顔を見ずに、馬鹿みたいに大きい声で








「佐野斗真くんってどこですか!!!!!!!」






叫んでしまった。






シーーーーーーーーーーーーーーーーン







静まり返るB組と廊下、それに伴ってくる恥ずかしさ








今すぐここから逃げ出したいっ…!





次の瞬間、誰かが吹き出す音に続いて




周りの人たちが一斉に笑い始めた






「えっ、いや、あの」






「おい、斗真!お前も顔知られてないことあんのな!笑」








……え?













嫌な予感がした私は、恐る恐る


声を掛けてきた男の子の方に顔を向ける






すると、パチッと彼と目が合い




ふんわり少しだけ微笑みながら






「佐野 斗真は俺だけど?」







そう、返してくれた。









ああ、知ってる。この顔。













身長も声も髪の毛も何もかも違うけど











この笑顔だけは違ってない。












私の知ってる斗真くんだ。








タオルと傘を貸してくれたときの斗真くんだ。





















確信した途端、嬉しさが込み上げて





胸がきゅーっと締め付けられて







頬が自然と上に上がって







気付けば私は笑顔で










「好きです。斗真くん。やっと会えたっ…!」











そう言ってしまった。
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