愛され任務発令中！～強引副社長と溺甘オフィス～

任務その⑥『ピンチをチャンスに変えろ!?』

「行くぞ」

「はっ、はい！」

ロータリーで車をドアマンに預け、先に歩き出した副社長の後を慌てて追いかけた。


佐々木さんに見送られ店を出て、副社長が運転する車でやって来たのは、各界の著名人も頻繁に訪れていることで有名な都内の一流ホテル。

正面玄関を潜り抜けると高い天井からは、眩い光を放つシャンデリアが吊るされており、床は大理石でキラキラしている。

ラウンジにはゆったりと寛げる大きなソファ椅子が置かれていて、大きな窓からは小さな噴水が見えた。


初めて訪れる煌びやかな世界に怖じ気づいてしまい、ただ副社長についていくことしかできない。

さっ、さすがは一流ホテル。客層だけでここが普通のホテルとは違うと認識させられてしまうよ。


挙動不審になりながらも、フロントやラウンジにいる人をチラチラと見てしまっていると、堂々と前を歩く副社長は歩を進めたままボソッと言った。

「おい、あまりキョロキョロするな」

「でっ、ですが副社長！　私、完全な場違い感が否めないのですが……！」