愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「あー……びっくりした。まさか代表に拾わせるとか……」

ガックリ項垂れる野原主任に申し訳なくなってしまう。

「本当、すみませんでした」

野原主任の言うように、代表に拾わせるとかあり得ないことだ。

そんなことをさせてしまったのは、全て私のせい。


「でもお咎めなしでよかったよ。まぁ……代表はそれだけで叱るような人ではないけどね」

野原主任の言う通り、代表は寛大な人だと思う。

尚且つ表情豊かで心の声を常にブツブツ呟いてしまうほど。

それも社内で社員の前で平然としてしまうからすごい。

その分、副社長とは違い親しみやすい印象がある。


女子社員の大半は副社長のファンだけれど、断然私は代表派だ。

もし代表が三十代くらいで独身彼女ナシだったら、本気でアタックしていたかもしれない。


そんな代表にお世辞と分かっていても、『期待している』なんて言われたのかと思うと、じわじわと嬉しさが込み上げてくる。


だって私の今までの人生の中で、『期待している』だなんて言葉を掛けてくれた人なんて、ひとりもいなかったから。
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