愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
あり得ない話なはずなのに、どうしてだろうか。想像しただけで胸が苦しくなるのは。私……もし、副社長にプロポーズされたら、嬉しいと思っている?


だって副社長、イメージしていた人とは違ったから。会社での立ち居振る舞いには彼らしい真面目な理由があったわけだし。それに厳しいだけじゃない、優しい一面もある。普通に笑うし、笑った顔も素敵だし……。


そこまで思いを巡らせてハッとする。もしかして私、副社長に惹かれているのかもしれないと。

じわじわと押し寄せてくる感情に戸惑ってしまっていると、紗枝は私の様子を窺いながら話し出した。

「私は恋愛でついた心の傷には、新しい恋が一番の特効薬だと思うけどな」

「紗枝……」

事情を知る紗枝は、眉尻を下げた。


「最低男のことなんて早く忘れて、幸せな恋愛しなよ。……その相手として副社長は、すごくいいと思うけど? 真面目だし誠実そうだし。……まぁ、ちょっと気難しそうだけど」

言葉を濁した紗枝に、曖昧な笑みを浮かべることしかできない。

紗枝の言っていることは正しいと思う。いつまでも大学時代の辛い恋愛を引きずっていたって、なにもいいことなんてない。
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