愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
そんな彼に私はただ謝ることしかできない。


今回も緒方社長だったから寛大に許してもらえたけれど、他のクライアント先で同じ失敗をしていたら、大変なことになっていた。

「いや、俺もちゃんと確認しなかったのがいけなかった。……だからあまり気にするな。結果良い方に進んだんだから」

「副社長……」


すると副社長はふわりと笑った。

「緒方社長はお前が失敗することを期待していたんだ。……お前のおかげで終始和やかに進めることができた。……ふっ。緒方社長に関してはお前を秘書にして心の底からよかったと思えるよ」

「クククッ」と喉元を鳴らす姿に、恥ずかしさと嬉しさが同時に込み上げてきてしまった。

それは秘書としてどうなの?って思うけれど、副社長にそんな風に思ってもらえて、嬉しくも思う。


エレベーターは一階にたどり着き、先に降りた副社長に続いてエントランスを抜け、正面玄関に差し掛かった時、外から戻ってきたリバティの男性社員はなぜか足を止めた。

「ん? 小山、知り合いか?」

「――え?」

副社長に言われ、まじまじと足を止めた男性社員を見据えた瞬間、目を見開いてしまった。
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