愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
バッグをギュッと握りしめてしまうと、副社長は私の顔を覗き込んできた。突然目の前に副社長のアップ顔が迫ってきて、背もたれに寄りかかってしまう。

なのに副社長は近い距離のまま、真剣な面持ちで言った。

「それで、あいつとの間になにがあったんだ? なにかあったら逃げ出したんだろう?」

「それは……」

確信を得た目で私を捕える副社長に、たじろいてしまう。


「俺だってお前に弱音を吐いたんだ。お前の弱音だって聞かせてもらわないと、フェアじゃない」

フェアじゃない……だなんて。そう言っているくせに、「早く話せ」とは急かしてこない。私が話すのを待ってくれている。

ついさっきまで副社長に知られたくないって思っていたのにな。


正直、話して副社長がどう思うか不安。……それでも彼には、聞いてほしいと思ってしまった。

「……麻生さんは、私の大学の先輩でした」

意を決し、紗枝にしか話していないことを切り出した。
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