愛され任務発令中！～強引副社長と溺甘オフィス～
どうしたのだろうかと、不思議に思っていると、田中さんは周囲に聞こえないよう声を潜めた。

「最近副社長お忙しいようですが、体調の方は崩されたりしておりませんか？」

「……え」

「連日お忙しいようで、だいぶ遅くまでお残りになられていましたので」

嘘……そうだったの？

私、副社長の秘書といっても、毎日「もう上がっていい」と言われたら先に帰宅しまっていた。

だから副社長がいつも何時まで会社に残っているのか知らない。


何度か「まだ帰られないのですか？」と聞いたことがあるけど、「お前は気にしなくていいから」って言われて、そのまま帰宅するばかりだった。


「副社長は大変真面目な方で、真面目過ぎるが故、ご無理されることも度々あるんです。少し疲れていそうでしたら、どうか早くご帰宅されるようお声掛けください。体調管理も秘書の大切なお仕事のひとつですので」

「はい……！」

「それでは失礼します」と去っていく田中さんの背中を見つめながら、気持ちが焦っていく。
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