愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
自宅から会社までは徒歩と電車で約十五十分。最寄駅から二駅で辿り着く。

恵まれた通勤状況だと思う。中には通勤に一時間近くかかっている人もいるようだから。

改札口を抜け、人の波に流されながらオフィス街へと向かっていく。

そして会社が入っているビルの前まできたとき、一台の車がビルの前で停車した。

するとすぐに降りてきたのは副社長だった。

わ、副社長だ。

今日も相変わらずビシッとスーツを着こなして、髪型もきっちり決まっている。


近寄りがたいオーラが放たれていて、歩くスピードは遅くなってしまった。

このまま歩いて行ったら、同じエレベーターに乗り合わせてしまいそうだ。

距離を取りながら歩を進めていると、同じ車から代表が慌てて降りて声を張り上げた。


「幸和! ちょっと待ちなさい! 話はまだ終わっていないぞ!!」

周囲の目を気にすることなくツカツカと大股で進み、副社長の後を追っていく代表。

当然同じビルに入っていく人たちは足を止め、代表を目で追ってしまう。
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