愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
カップを手にしたまま不安と恐怖でいっぱいになってしまっていると、それに気づいた副社長が声をかけてきた。

「菜穂美……? どうかしたのか、急に黙り込んで」

隣に座る彼を見れば、心配そうに私の様子を窺っている。

副社長と付き合い始めてからの私は、毎日が幸せだった。今のこの幸せを失ってしまったら……?

そんなの想像さえできないけれど、私……生きていけない気がする。


どうすればいい? この先も副社長とずっと一緒にいたいなら、いつかは彼の親族と会わなくてはいけないことくらいわかるけど……。気に入られる自信がないよ。


「あ、あの副社長……っ!」

テンパってしまい、咄嗟に手にしていたカップを膝に落としてしまった。

「熱っ……!?」

「バカッ! なにやっているんだ!」

少し冷めてきたとはいえ、半分以上残っていた珈琲がスカートの生地から染み込み、太ももにまで熱を伝えていく。
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