愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「すみません。副社長は身だしなみにも気遣われるお方です。なのでネクタイはもちろん、ネクタイピンもこれまで毎日違うものを身につけられておりましたのに、ここ最近は同じものをつけておられましたので、もしや……と思いまして」


クスクスと笑いながら話す田中さんに、唖然としてしまう。

彼は代表の秘書だ。それなのに副社長のそんなところまで気付いていたとは……。恐るべし、田中さんだ。

そんなことを思っていると、不意にこちらを見た田中さんと目が合い、ドキッとしてしまう。


「私の目に狂いはなくてよかったです。……我が社を志願してくださってありがとうございます。……副社長と出会ってくださり、感謝しております」

「そんなっ……!」

慌てて手を左右に振った。


「お礼を言うのは私の方です! ……内定をもらえなかったら、副社長の秘書に抜擢してもらえなかったら、私の今はなかったんですから。……本当にありがとうございました」
< 316 / 319 >

この作品をシェア

pagetop