愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
紗枝とはまだ出会って三カ月弱だけれど、お互い色々な話をしてきた。紗枝と出会う前の話も――。

昔のことをつい思い出してしまっていると、紗枝は慌てて話し出した。


「とっ、とにかく! 私はいいと思うけどな。自分のスキルアップにもなるだろうし、なにより菜穂美に声がかかったこと自体奇跡としか言いようがないでしょ? チャンスをものにしないと……!」

「そうは言われても……」


紗枝の言う通り、私みたいな人間に副社長の秘書として声がかかるなんて、奇跡なんだと思う。

だからこそよく考えないといけないと思う。

「第一副社長が私みたいな人間を秘書として認めると思う? 紗枝だったらどうよ」

すると紗枝は即答した。

「すぐクビにするかな」


にっこり笑って言われてしまうと、答えなんて予想できていたけれど、ガックリしてしまった。

「でしょ? ……やっぱり断った方がいいかな。まだ副社長の耳には入っていないようだし」

チビチビとお刺身を口に運んでいると、紗枝は不思議そうに尋ねてきた。
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