愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「ちょっとやだ、菜穂美ストッキング!」

「え?」

お母さんに言われるがまま履いているストッキングを見ると、なんと伝染してしまっていた。

「げ、嘘でしょ」

どうしてこのタイミングで伝染してしまうかな。

「替えはあるの?」

「ないからコンビニで買う。行ってきます」

「本当に気をつけて!」

念を押されますます心配するお母さんに見送られ、家を出た。


けれどすぐに立ち止まり、また朝から深い溜息が零れてしまった。

「朝からついていない。……なんか不吉」

嫌な予感がしつつも、急いでコンビニに寄って履き替え、会社へと向かっていった。



いつもより一時間出勤時間が早いと、当たり前だけどオフィスはガランと静まり返っている。

エントランスを抜けても明かりは灯っていなくて、薄暗いオフィスはいつもとは違った場所のように見えてしまう。

自分の足音だけが異様に響く中、歩を進めていくと急に代表室から大きな声が聞こえてきた。

「そんな話は聞いていませんが?」

怒っているような声色は副社長のものだ。やばい、コンビニに寄っていたせいで遅くなってしまった。
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