愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
慌てて代表室へと向かったけれど、次に聞こえてきた声に足は止まってしまった。

「俺に秘書は必要ないと散々言っていますよね? しかもよりによってどうして彼女をっ……!」

いつになく声を荒げる副社長の言葉に、ズキッと胸が痛んでしまった。


「よりにもよってどうして彼女を」ってことは、やっぱり副社長にも知られちゃっているよね。私が仕事中よくやらかしていたってことを。

それを知っているからこそ、私が秘書なんてあり得ないってことだよね……。


最初から覚悟はしてきた。きっと副社長にはすぐクビを言い渡されちゃうかもしれないって。

それでもやっぱり実際に副社長の言葉で聞いてしまうと、ショックを隠し切れない。

もしかしたら秘書としての仕事をやらせてもらえることなく、クビになってしまうかもしれない。

落ち込むばかりで代表室のドアに手をつき、寄りかかってしまった時、急にドアが開いた。


「――え、キャッ!?」

すっかり体重を預けてしまっていたものだから、内開きのドアが動いた瞬間、そのまま私の身体は前のめりに倒れていく。

「痛っ……」
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