愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
わっ! 副社長だ……!


変な緊張感に襲われながらも、慌てて私も頭を下げた。

けれどあっという間に横を通り過ぎ、オフィスへ続くドアの向こう側へ行ってしまった。


「いつ見ても副社長って素敵よね」

「ねー。代表のご子息だけあるわよね。……まぁ、性格は似ても似つかないけど」

「言えてる」

クスクスと笑いながら、さり気なく我が社の代表をバカにしている受付社員。


けれどまぁ……副社長と代表の性格は、似ても似つかないって話には頷けてしまう。


副社長……一之瀬和幸、二十八歳。身長百八十五センチの長身と、モデルのようなスタイルの良さ。おまけにそこらへんの俳優よりよっぽどイケメン。


完璧なのは容姿だけではない。かの有名な国立大学出身で、在学中に海外へインターンシップ済み。

語学堪能で英語はもちろん、中国語、フランス語まで話せるとか。

実務を積み、副社長の職に就いて早二年。早速手腕を発揮し、我が社はより一層業績を伸ばしている。


だけど彼は、滅多に……いや、笑ったところを誰も見たことがないほどポーカーフェイスだ。

感情ないんじゃないですか?と聞きたくなるほど、常に冷静沈着。
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