愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
とは言うものの、必死になぐり書きしたメモを読み返しても、不安ばかり。

そんな私の心情を感じ取ったのか、田中さんは私を落ち着かせるように優しい口調で話し出した。

「大丈夫ですよ、落ち着いてください。……しっかり研修いたしましたし、自信を持って業務にあたってください」

「田中さん……」

少しだけ微笑む彼の姿に単純な私は、やればできるような気持ちになる。

「では私も業務に戻りますので失礼します。あとは副社長の指示に従ってください」

「はい、ありがとうございました」


田中さんを見送り、大きく深呼吸して向かう先は副社長室。この一枚のドアの先に彼がいるのかと思うと、また緊張してきてしまう。

いやいや、なにを言ってるのよ。これから秘書として働くんだから、副社長に早く慣れないと!!


両手の拳をギュッと握りしめて気合いを入れ、三回ノックすると「入れ」の声が聞こえてきた。彼のたった一言だけで背筋が伸びてしまう。

「しっ、失礼します」
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