愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
恐る恐るドアを開けると、副社長はデスクに肘をつき、書類をチェックしているところだった。


うわぁ……ものすごく〝近づくなオーラ〟を放たれている気がしてしまうのは私だけ? でも指示を聞かないといけないし。

ドアを開けたままウジウジ悩んでしまっていると、副社長は書類に目を向けたまま言った。

「そこにいつまでもいられたら、仕事の指示ができないんだけど」

「すみません!」


慌ててドアを閉め副社長の前まで向かうと、彼はやっと顔を上げ私を見据えた。目が合っただけなのに、ドキッとしてしまったのは彼はやっぱり魅力的な人だから。


まるで吸い込まれそうになるほど綺麗な瞳を見つめてしまっていると、彼は怪訝そうに顔を歪めた。

「おい、そのしまりのない顔……来客中などには見せるなよ」

「……えっ!?」

慌てて表情を引き締めるも、先ほどの彼のセリフが頭の中で繰り返される。

副社長、さっき『しまりのない顔』とか言ったよね? 失礼な!!


キリッとした表情を作り彼を見据えると、副社長は淡々とした口調で言った。

「俺はこれから出かけるから」

「では私も」

代表から同行するようにと言われたし。
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