愛され任務発令中！～強引副社長と溺甘オフィス～

「……うん、なかなかいい感じに生けられたじゃない」


就業時間の一時間前。まだ人もまばらなオフィス。私はいつもより早めに出勤し、家から持ってきた花を生けていた。


ゲームに登場する副社長みたいな御曹司が花好きだった。だからといって彼も花好きとは限らないけど、副社長室は度々来客がくるというのに、必要最低限の物しかなくて殺風景だ。


花を見て気分を悪くする人なんていないだろうし、文句は言われないよね。

副社長室の応接テーブルと、自分のデスクに自宅から持ってきた花瓶を置いた。


「これでよし、と！」

時計で時間を確認し、副社長室を後にする。

そろそろ田中さん、出勤してくる頃だよね？

オフィスをウロウロしてしまっていると、タイミングよく田中さんが出勤してきた。

「あ……おはようございます！」

思わず声が漏れ、早足で田中さんの元へ駈け寄っていく。

自分にできることをしよう。今の私ができる精いっぱいのことを。

そんな思いで田中さんにあることを相談してみた。