愛され任務発令中！～強引副社長と溺甘オフィス～
いつ来客が来てもいいように、珈琲は朝淹れておくようにと田中さんに教えられてから、毎朝淹れている。


チョコレートがあったからそれもお皿に盛って珈琲と一緒にトレーに乗せ、緊張しながらも副社長室のドアをノックすると、すぐに「入れ」の声が聞こえてきた。

「失礼します」

中に入ると副社長はパソコンに向かっていた。えっと……勝手に机に置いてもいいのかな？

迷っていると彼は一瞬チラッと私を見た後、椅子の背もたれに寄りかかった。

これは早く持ってこいってことかな？　そう判断し副社長の机にカップとチョコレートのお皿を置いた。

「どうぞ」

「あぁ、」


なぜか歯切れ悪く返事をすると、副社長はジッと私を見つめてきた。

「あの……なにか？」


居心地が悪くなり、トレーを胸の前で両手で抱えたまま尋ねると、副社長は相変わらず感情が読めない表情で私を見据えたまま話し出した。

「ここ数日、以前のようにうるさく突っかかってこなくなったが……」

うっ、うるさく……？　副社長に私はそんな風に思われていたのかと思うとショックだ。

頭の中でガーンという効果音が鳴る。
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