愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「今、新規契約に向けて交渉しているゲーム会社主催のパーティーなんだが、こういった場所では同伴者が必要なんだ。……お前、行けるか?」

えっと……これはもしや、秘書としての初仕事ってやつですか?


紙を手にしたままフリーズしてしまっていると、副社長は再度「どうなんだ?」と問いかけてきたものだから、慌てて答えた。

「わっ、私でよろしければ行かせてください!!」

思わず大きな声で言ってしまうと副社長は少しびっくりしながらも、すぐにいつもの感情の読めない表情で言った。


「当日はドレスコード必須だから、午後早く上がっていい。もし行きつけのところがないなら、ここに行け。俺の名前言えば伝わるから」


そう言うと副社長はペンを滑らせ、書き終えたメモ紙を私にくれた。そこには店名と住所、電話番号や簡単な地図が書かれていた。

もしかしてここ、ドレスショップとかなのかな? それとも美容室?

なににしろ助かった。私、パーティーに着ていけるような服なんて、一枚も持っていないし。

「以上だ。戻っていい」

「あ……はい」

すっかり仕事モードに戻った副社長は、カタカタとパソコンキーを叩き始めた。
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