カクシゴト
「なめるなよっ」


そういった後、先生は


「サーブ練習するか」


と真顔で言った。


「えっ!?」


サーブを、私は今までちゃんと打てたことはない。


それのせいでピンチサーバーを付けられたり、


リベロにされたりなど、色々と大変だった。


とりあえず先生は今、私の事を絶対に虐めてる…。


「お?どうした松田。

打てないのか??」


む、ムカつくけどかっこいい……。


「…打てないの、先生も知ってるじゃないですか…!」


精一杯の足掻き。


さぁ先生、どうくる…!?


「…ははっ!

松田〜、お前可愛いな〜」


そう言って先生は大声で笑い出した。


「か、可愛い!?」

「反応がな、すげー女子だったなーって(笑)」


褒められてるんだかけなされてるんだか


よく分からなかったけど、


とりあえず「かわいい」という


単語に反応したのは確かだった。

_


練習を始めた時間は一時なのに、


今はもう4時を回ってた。


「4時か…

ごめんな松田。

練習に突き合わせて。」

「いや、楽しかったです!」

「よかった。じゃあ、家まで送ってくよ」

「え!いや、いいですよ!」

「もしかして迎えか?」

「…歩きです。」

「じゃあ丁度いいじゃん。」


そう言って先生は私の荷物をもってスタスタと


前を歩いていってしまう。


「せ、先生!

私、今凄く汗臭いから車臭いますよ!」

「そうか?」


そう言って先生は私に近づいてきて、


肩ら辺の匂いを嗅いだ。


「ちょ、先生!?」

「松田んちのいい匂いするぞ?」

「え!?」


それもそれで返しに困る…


じゃなくて!


近い…、やばい、顔赤くないかな…?


「せ、先生、早く行きましょ!」


そう言って私は先生の少し前を歩く。


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