カクシゴト
気づいたら土曜。


今日は先生の誕生日。


少し大きめのバックの中に


先生へのプレゼントをいれた。


今日行くところは私の住んでる市から


少し離れた所にある水族館。


待ち合わせの11時より十分早く来たのは


今日を楽しみにしてる証拠になるかな。


そんな下らないことを考えながらついた


待ち合わせ場所には、


もう先生の車が止まっていた。


「お、松田おはよう〜」


いつも通り明るく先生が


車の中から話しかけてくる。


「おはようございます、先生〜」


先生はパンツにトレーナー。


上にカーディガンというラフな格好をしてた。


それさえもかっこよく見えてしまう私の目は


相当やばいのかもしれない。


それと比べて私はジーパンの上に


薄いトレーナーというなんとも地味な格好。


「お、松田私服可愛いな〜」

「う、動きやすい格好にしてきたんです!

それにおしゃれとかわかんないし…

先生の方が、凄くかっこいいですよ!」

「いやいや、だいぶ可愛いよ。

俺も格好良くないしね(笑)

じゃあ、行こっか」


そして私は当たり前の様に助手席に座る。


「昼食べた?」

「いや、食べてないです。」

「俺もなんだよね〜

じゃあ、なんか食うか。」


そう言って来たのはおしゃれなカフェ。


「あ、そうだ。松田。」

「はい?」

「お前、俺に敬語禁止な。

あと今日は名前で呼ぶように。」

「何でですか!?」

「周りの人に不審に思われるだろ?

今日は俺も秋桜って呼ぶから。」

「わ、かりました。」

「あ、あと、

俺今日いろんな場面でお前の分も金払うけど、

お前は後から金出すとかも禁止な。」


財布の中には一万円。


自分の分は出すつもりで多く持ってきたはずなのに。


悪いと思ってそれを口に出そうとした時、


「男なんだから。大人なんだから。

金出すのは当たり前だろ?

少しはかっこつけさせろって」


そう言って先生はニコッと笑った。


「じゃあ、行くぞ。秋桜。」

「うん、隼人!」
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