カクシゴト
その後、私達は晩御飯を食べ、


家に帰ろうとしたのは9時頃。


「なんか今日1日で先生のこと隼人って呼ぶの

慣れちゃったかもな〜」

「俺もだよ(笑)

秋桜って言うの慣れたな。」


今いる場所は私の家の近くの駐車場で、


先生はまた家まで送ってくれるらしく、


車から降りる。


「明日からはちゃんと先生って呼べよっ」

「わかってますよ〜(笑)」


そんなことを話してたら直ぐに家の近くまで来て、


もう終わるのかって思った。


「先生、私、先生のことが好きです…。」

「え?」


好きだと言うと先生は凄く驚いた顔をした。


「今日すごく楽しかったです。

よかったらまた何処か行きませんか…?」

「秋桜…

ごめん。俺、あ…松田とは付き合えない。」

「それは、私が生徒だからですか?」

「それもある。

それに俺は、松田のことそんな目で見たことない。」

「じゃ、じゃあどうして

抱きしめたりなんかしたんですか…?

アイスも、

先生は皆にあんなことしてるんですか?」

「…」


ひどい、そりゃ確かに振られることも覚悟はしてた。


でも、前に抱きしめられたこと、


アイスを食べたこと。


私は嬉しかった。なのに、


先生はそれも無かったことにするかのように、


ごめん。と、ひたすら呟いた。


「もう、いいです…。

また明日も話してくれますか?今まで通り…。」

「もちろんだ。」

「ありがとうございます…」


涙が出そうになって、私は家に入ろうとした。


そしたら、ぎゅっと腕を掴まれた。


「これっ、お土産…!」


先生が袋を渡してきた。


「ストラップ、おそろいだからっ」


なんでそんな事言うの…


お揃いとか、もっと好きになっちゃうじゃん…


涙が出てきて、やばいって思った時、


先生に抱きしめられてた。


「ごめん、…ごめん松田…。」


謝ってる先生の声は掠れてて、


もっと泣きそうになった。


「わ、たし…、

はやと、すき…」

「秋桜…。」


五分間くらい抱き合ったあと、


先生は、忘れてくれ、と、


一言言い残して帰った。


ラインでは、


明日ちゃんと部活来いよ、松田。


と一言だけ送ってきた。
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