カクシゴト
「もうすぐ先生誕生日じゃない?」


お昼ご飯をたべ終えたところで


ミサキが静かに呟いた。


「あー、今月の13…いや、14やろ?」

「そうそう。」

「え!そうなの?!」


うそ、知らなかった…。


「知らなかったの?

てっきり知ってるかと思った。」

「初めて知った。」

「じゃあ、丁度ええやん!

今日、先生のプレゼント買い行こ!」

「え!」


予想外の展開に驚きつつ、私達は新たに店に向かった。


「いらっしゃいませ。」


店の中には静かに店員さんの声が響く。


連れてこられた店は暗く、


高級感のある店。


「夕依、こんな高そうな店、

中学生が入って平気なの?」


ミサキの言葉にうんと頷くと


得意げに夕依は歯を見せて笑った。


「高そうに見えるやろ?

ここに売ってるやつの値段見てみぃ。

どれも安いわ。」


そう言われてみてみると、確かに安くて、


どれも一つの1000円上下のもの。


「お手頃やろ?

ここ雑貨屋さん+服屋さんやん?

選び放題やろ!」


確かに…。


売ってるものはどれもお洒落で、


どれを買おうか迷ってしまう。


でもその中でも、一つ、


目に残ったものがあった。


それは…


「これ、買う…。」


先生のイメージカラーの、


黒と赤のマフラータオル。


「お、いいじゃん。」

「カッコええなぁ。」


値段は1000円。


財布の中には五千円札が一枚。


私は迷わずレジに向かった。


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