ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

そう、もう会うはずがなかったのに…


今、どうして峯岸と2人きりでいるのだろうか⁈


確か、今日は仕事帰りに先輩の石塚さんと2人で新しくオープンしたばかりのカフェ、【Forest】で食事をして楽しんでいた。


「石塚さん、このオムライス卵がトロトロだし、中のバターライスも美味しいですね」


「来て正解だったわね。食後のデザートも楽しみ」


2人で頬を緩ませオムライスをペロリと食べた後、デザートプレートに可愛らしく盛られた小さなケーキに心が奪われてしまう。


カウンターの中で作業をするちょっと怖い雰囲気の男性が、これを盛り付けたのかと疑いたくなるほど可愛らしかった。


プレートを運んできてくれた可愛らしい女性が盛り付けたのならわかるよねと、石塚さんと目配せして会話する。


デザートを堪能していたら、突然、石塚さんが話しだした。


「ねぇ、美姫さ…そろそろ私の事を石塚さんって言うのやめない?知り合って半年経つし、これだけ頻繁に一緒に出かけてるんだから、私達、もう友達でしょう⁈早希って呼んでよ」


「さき…さん」


「さんはいらないんだけど」


「さすがに呼びすては無理です」
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