ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「たぶん、愛してるってことなんだよなぁ」
「たぶん⁈なに?その曖昧な言い方」
不満顔で美姫が峯岸の旨を何度も叩いた。
その手首を掴んだ峯岸が美姫の拳を口元に持っていき口づけてきて、美姫は怒っているのに、そんなことをされて戸惑いながら手を引こうとする。
「やっ、離して」
その両手を窓に押さえつけバンザイの格好になる美姫の指を絡めた峯岸は手を繋いできた。
窓にはりつく姿の美姫は峯岸を睨んでいるのに、妖艶に微笑む男は、唇が触れそうで触れない距離に顔を近づける。
「美姫は、どうなんだ?」
「…なにが?」
「わからないふり⁈言わないなら体に聞こうか?」
話す度に触れる唇の熱と吐息、そしてゾクッと体を奮わせる甘い声色にゴクッンと喉を鳴らした。
ずるい男…
どちらにしても、美姫は降伏して言うしかない気がする。
「あなた…しか、いない。私にはあおとだけ」
素面で初めて呼んだ男の名に美姫は顔を赤らめ、峯岸は目を細め少し不満気にした後、悪巧みを企んだ笑みを浮かべた。
「今は、それで満足してやる。だが、この状況でそんな顔して煽った責任はとってもらうぞ」
えっえー
と思った時には、触れ合った唇を淫らに開かされキスに夢中になっていた。