ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「まぁ、いいか…美姫、改めてよろしくね」
「…早希さん、よろしくお願いします」
「もう、硬いな…敬語もなしね」
「はい…うん」
ギロッと睨まれて言い直した。
早希さんと、今まで以上に親密になれた事にお互い喜んでいたら、あっと言う間に時間が過ぎラストオーダーだと言われ、そろそろ帰ろうとしていた時、お店の中に入ってくる1人の男性。
「うそ…」
驚きで声をあげた方向を見た男は、最初こそ不機嫌な目をしてたが、美姫だとわかると笑みを浮かべ近寄ってくる。
「美姫ちゃん」
峯岸に美姫は名乗っただろうかと不思議に思うより先に、男に名前を呼ばれた事にドキドキしていた。
「今日は浜田と一緒じゃないんだね」
美姫達が座るソファの横に立ち止まり、美姫を見つめる。
「…あっ、はい。今日は会社の先輩と前々から気になっていたこちらに食事をしに」
早希に微笑む峯岸。
彼女でもないのに、自分以外の女に微笑む峯岸に苛立った。
「こんばんは…」
早希は、浜田と美姫の知り合いだとわかると、愛想良く微笑んでいる。
やだ…
モヤモヤするこの感情はなんなのだろう?