ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

「まぁ、いいか…美姫、改めてよろしくね」


「…早希さん、よろしくお願いします」


「もう、硬いな…敬語もなしね」


「はい…うん」


ギロッと睨まれて言い直した。


早希さんと、今まで以上に親密になれた事にお互い喜んでいたら、あっと言う間に時間が過ぎラストオーダーだと言われ、そろそろ帰ろうとしていた時、お店の中に入ってくる1人の男性。


「うそ…」


驚きで声をあげた方向を見た男は、最初こそ不機嫌な目をしてたが、美姫だとわかると笑みを浮かべ近寄ってくる。


「美姫ちゃん」


峯岸に美姫は名乗っただろうかと不思議に思うより先に、男に名前を呼ばれた事にドキドキしていた。


「今日は浜田と一緒じゃないんだね」


美姫達が座るソファの横に立ち止まり、美姫を見つめる。


「…あっ、はい。今日は会社の先輩と前々から気になっていたこちらに食事をしに」


早希に微笑む峯岸。
彼女でもないのに、自分以外の女に微笑む峯岸に苛立った。


「こんばんは…」


早希は、浜田と美姫の知り合いだとわかると、愛想良く微笑んでいる。


やだ…


モヤモヤするこの感情はなんなのだろう?
< 12 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop