ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「私がいたら、ゆっくり休めないと思います。大丈夫ですから、今の仕事が落ちついたら会ってください」
受付という目立つ場所、それに、隣に早希がいるからか、そう言うしか思いつかなかった。
「…あっ、そうだね。寂しいけどここに来れば美姫に会えるし、我慢するよ。仕事が落ちついたらゆっくりデートしよう」
そう言って、寂しそうに帰って行ったのが、峯岸との夜の翌日だった。
それから約1ヶ月経った頃
「ちょっと最近、浜田さんに、つれないんじゃないの?」
「そうですか?」
そう早希に言われハッと気がつく。
あんなに会いたいと思っていた浜田だったのに、いざ会ってしまうと、後ろめたい気持ちでまともに顔を見れないからだった。
私は、何をやってるんだろう?
彼氏からの誘いを何度も断り、しばらくプライベートで会えない事にホッとしている自分…
未だ峯岸とのキスが忘れられない事で、浜田につれない態度をとっている自分…
彼氏の仕事が忙しいから仕方ない。
ワガママを言って困らせたくない。
仕事が落ち着けばいつでも会えるからと言い訳をする。
あのキスが、こんなにも美姫をずるい女にしているのだ。