ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

お昼に訪問した浜田さんと、確かに目で会話した。


『今日、大丈夫?』


『はい』


『待ってるよ』


たったこれだけの会話だったと思うが、まさか、見られていたとは…


「セクシーなランジェリー、浜田さんの為でしょう?」


図星を突かれ、頬が赤くなる。


一カ月ぶり、そして週末なのだから、そういう雰囲気を期待するのはいけない事だろうか?


「もう、美姫ったらかわいいわね。ほら、早く行きなさい。そんな顔で、いつまでもいたら意地悪したくなるわ」


石塚さんも、浜田さんをいいと思っていたらしく、彼と付き合う事になったと話した時はショックを受けていた。


だが、今は、なんだかんだと応援してくれている。


忙しい彼となかなか会えない寂しい週末を付き合ってくれたり、愚痴を聞いてくれたりする仲のいい先輩だ。


「はい…お先に失礼します」


「浜田さんに、いい男紹介してねって頼んでね」


既に、素敵な彼氏がいる石塚さんの冗談で見送られ、急ぎ足で彼のいるお店に向かい、一枚板の重いドアを開けた。


ドアを開け真っ先に出迎えてくれるお店のマスター。


「いらっしゃいませ、お待ち合わせですか?」
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