ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
声を我慢する美姫
浜田に聞かれたくないのだろう…
そんな姿に苛立ちを覚え、鳴かしたくなる。
スマホで耳を塞いでいない美姫の耳は髪で隠れてる。
その髪を耳にかけ無防備に現れた耳朶を喰み、悪戯に吐息を吹きかけ、身体中を弄る。
「…ごめんなさい。もう…」
浜田にも峯岸にも言っているように聞こえる。
『あぁ、体調が悪いのに朝から悪かった。ゆっくり休んで明日には治してほしいな』
浜田の声が聞こえた苛立ちから美姫のうなじに強く口づけ抱きしめた。
「はい…明日は必ず」
『じゃあ、明日、また連絡するよ』
「…はい」
浜田に美姫の返事が聞こえたかはわからないタイミングで、美姫は耐え慣れないとスマホのボタンを押して切っていた。
峯岸といながら、彼氏の電話に出てしまう小悪魔な美姫を懲らしめたくなる。
「浜田と喋りながら俺に抱かれてればよかったのに、乱れる声を浜田に聞かれたくなかったのか?」
今まで、浜田の声に占領されていた耳に、意地悪な声色で囁き、耳朶を喰み、耳殻に沿って唇を這わせ、強く口づけたせいで赤くなった場所に、今度は優しく口づけた。
「…ひどいわ」
恨みがましい声で肩を震わせていた。